1. この実験から分かったことは、インスタントコーヒーを買わない理由は、香りや味が悪いとみんな言っているけれども、本当の理由は別にあったということです。 そちらを買ってしまうと、単に怠け者とか無駄な買い物をしているという感覚を持ってしまう・・・だから買わないんだという結論に至りました。

    そこで売り方を変えたんです。 賢い女性は、みんなこれを飲む。 要するに時間を節約したい人は、インスタントコーヒーを飲んでいます—発売当初は、インスタントだけど香りがいいですという売り方をしていたのですが、がらりとコンセプトを変えたわけです。

    そうしたら、売上げが急増したのです。 この話を聞いて、まさに人間心理を解き明かすということだと感じました。

    昔からあるマーケティング手法には、今のパターンのようなグループインタビューが普通に行なわれています。 そうすると「香りが悪い」という結果になったから、その声だけを真に受けて商品開発を進めたりするケースが多く見受けられるのです。

    でもそれはちょっと違うんですよ。 嘘という可能性も高いですから。 いろいろな調査で言われていることですが、自分が重視し思っていることと行なっている行為には、かなりのズレが生じています。

    そもそも分かっていないことがすごく多いので、人を集めて聞いてみたところで、仕方がないのです。 先ほどの例ではすごく複雑な調査をされたそうですが、いちばん良いのは、消費者の行動を観察し、その行動の裏に潜む動機や心理を分析することではないでしょうか。